民間金融機関による実質無利子・無担保融資は2021年3月31日で終了しましたが、
政府系金融機関(日本政策金融公庫と商工中金)による
「新型コロナウイルス感染症特別貸付」は年末まで延長されることが決まりました。
「新型コロナウイルス感染症特別貸付」は、
日本政策金融公庫HPにも記載のとおり、
中小企業基盤整備機構から利子補給を受けることにより、
当初3年間が実質無利子となる貸付制度です。
5/25の報道によると、この政府系金融機関による実質無利子・無担保融資の申請期限について、
麻生太郎財務相は「当面、年末まで延長する。」と表明したとありました。
当初は6月末で終了する予定でしたが、継続を望む声が多かったものと推測されます。
弊社のお客様の中でも「よかった」「安心した」というお声もよく聞こえます。
とはいえ、年末までといっても、あと半年です。
この融資制度を利用して、当面の運転資金を早めに確保しておかれても良いと思います。
一方で、民間金融機関による実質無利子・無担保融資は、
4月から「伴走支援型特別保証制度」に生まれ変わり、
融資のハードルは高くなりました。
もし、年末で政府系金融機関によるコロナ融資が終了するようなら、
来年からは資金調達が一層難しくなることも予想されます。
また、コロナウイルスが感染拡大した昨年と異なり、融資審査は厳しくなっています。
昨年は、とにかく融資をして企業の資金繰りを安定させることが最優先でした。
そのため、返済能力がなくても融資は実行されました。
ところが、今年度に入ってからはそうではありません。
今後の成長性や、コロナからの回復見通しが高く、返済能力の有無を見ています。
「厳しくなった」といっても昨年と比較してであり、通常の審査に戻ったと考えるべきです。
したがいまして、年末まで制度が延長されても、
経営者の方々が期待する結果が得られない可能性もあります。
リーマン・ショックや東日本大震災など、
これまでも中小企業の経営に大きな影響を与える出来事が発生するごとに、
融資で積極的な支援が行われてきました。
そして、ある程度の融資件数や金額の実績ができると、やや厳しい姿勢に変化します。
この一連の流れは、これまでの歴史を見ても間違いありません。
このように、事業者の皆様を取り巻く経営環境は目まぐるしく変化しますので、
早いうちに資金調達を行い、
そして金融機関から支援対象先と判断してもらえる経営をしていくことは重要です。
環境変化を的確にとらえ、事業継続と成長のために
計画的な資金調達をご検討いただければと思います。
支援部 田中徹志