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会計マガジン

『金融機関に対する決算説明のポイント』

3月決算の企業は、5月に決算が確定し、6月に取引金融機関に決算報告をされていると思います。
その際には、業績や今後の見通し等をまとめた資料をセットで提出できれば、
金融機関との信頼関係が構築できてベストです。(書面でまとめられなくても、口頭での説明でもOKです。)

決算説明資料の内容は次のようになります。

タイトル:第××期 決算のご報告
(1)第××期の業績 ⇒過去3~5年のPL
(2)財政状況 ⇒直近2期のBSの動き
(3)課題と対応策
(4)今期の見通し ⇒予想PL
(5)資金調達について ⇒借入希望

<添付資料>
・第××期決算報告書、勘定科目内訳明細書、税務申告書
・資金繰り表
・金融機関別借入一覧表

私は、普段から、社長や経理担当が書いた決算説明資料をチェックし、修正しています。
特に気を付けて欲しいのは次の点です。

 

1.コメントが数字をなぞっただけ
「売上高は前期比103.5%になった」というような、数字をなぞるだけの文章を書いても意味がありません。
金融機関が求めているのは、「××によって、前期比103.5%になった」という××(原因)の部分です。
××が書いてあると、金融機関の担当者は貸出稟議などの書類を作成しやすくなります。

2.売上の内訳を載せていない
「売上の内訳」は業績説明資料に欠かすことができない重要情報です。
売上の内訳は別紙ではなく本文に挿入すべきです。
社長は、たとえばA、B、Cという売上の内訳(3~5年の推移)をみながら、
「Aの売上は××なので底堅い」とか「Cは××によりコロナ前の売上を上回りつつある」といった“方向感”を語ります。


3.売上総利益率が変化しているのにコメントがない

売上総利益を売上高で割った売上総利益率(粗利率)は、
金融機関が必ずチェックする重要数値です。
「売上総利益率が何%改善しました。これは主に××によるものです」といったコメントが必要です。


4.販売管理費が増えているのに説明がない

前期と比べて大きく増加した勘定科目があれば、その点を説明します。
たとえば、採用活動で広告宣伝費が増加した場合は、
「コロナ後の需要増加に備えて、採用を強化した」などと、
前向きなニュアンスでコメントするようにします。

5.BSの「動き」についてのコメントがない
BSに関し、銀行目線で必要な情報は次のような記述です。
・長期借入金の約定返済が進んだことにより、現金が減少しました。
・××との取引を開始したことにより、売掛金が増加しました。
・関係会社への貸付金20百万円について5百万円を回収しました。
つまり、2期分のBSをヨコに並べて、増減の大きい科目についてコメントするわけです。
説明する自信がない場合は、BSの説明は省略し、
銀行員の質問にのみ答えるのが現実的でしょう(ベストではありませんが)。

6.「経営課題」や「対応策」を書いていない
「経営課題」や「対応策」が文章で書いてあると、銀行の印象がよくなります。
たとえば社長が、今期中に着手したいと考えている施策を3つ程度、箇条書きしておくだけでも、
銀行員との会話が弾みやすくなるはずです。
ポイントを明確にして、だらだらと長い文章にしないことが重要です。

7.借入希望を書いていない
決算書を提出する際に、この先1~2年分の必要資金を伝えて、
1回で借入を済ますのが、銀行員から見ても「安心して貸し出せる先」です。
そこで資料の最後に「新たに運転資金××万円程度の借入を希望します」といった文章を入れます。
金融機関は他行の貸出状況をみて融資を判断するので、
添付資料に金融機関別の借入一覧表を付けておくと、その場でのレスポンスが得られやすくなります。

以上になります。
これらを端的に書面にまとめるのは最初は難しいと思いますので、
必要な際にはいつでもお気軽にお声がけください。

支援部 中小企業診断士 田中徹志

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