新型コロナウィルスの発生から1年が経過し、
どの企業も「コロナウィルスの影響を受けた決算」を迎えていることかと思います。
業績好調の企業、
影響を受けながらも業績を維持している企業、
そして、業績が悪化してしまった企業。
業種・規模・エリア等により状況は様々かと思いますが、
決算を迎えたタイミングで、
「今後の融資継続に不安がある」
「ある金融機関がいきなり消極姿勢になった」
「毎月試算表の提出や会社の状況報告を求められるようになった」
といった資金調達に関するご相談を多く受けるようになりました。
実は、こうしたご相談の多くは業績の悪化だけでなく、
金融機関への情報開示レベルが原因となっているケースが見受けられます。
・コロナ禍でもこれまでと変わらない金融機関交渉を実施している。
・決算書だけを金融機関へ提出している。
・決算書に関する内容は担当から質問が来るまで答えない。
こういった対応をしている企業は特に注意が必要です。
国内全体がコロナウィルスの影響を受けている状況下では、
「今までの取引があるから、業績が悪化しても上手く解釈してくれるだろう」
「うちだけじゃなく、他の会社も同じ様に融資継続に難航しているのだろう」
「コロナ禍だから、金融機関も融資姿勢が厳しくなっているのだろう」
といった認識になりがちですが、
コロナ後の正しい金融機関対応としては、
受動的な金融機関交渉ではなく、
能動的に適切な情報開示を行い、
金融機関を味方にする動きが重要となってきます。
実際に、コロナの影響により大きく赤字損失を計上し債務超過に陥った企業が、
これまでと変わらない金融機関取引を継続させた事例では、
・決算書には表れない、平均単価や客数の推移による赤字要因分析
・コロナ禍で行った営業施策とその効果
・今後の事業計画の明示(収益、資金繰り、アクションプランの3つが特に重要です。)
などといった能動的な情報開示により、
良好な金融機関取引を可能にしています。
こうした積極的な情報開示が必要となっている背景として、
金融機関側もコロナ市況により収益環境の改善を余儀なくされており、
店舗集約・営業人員の効率化が進み、
結果として営業一人あたりの担当社数が増加し、
訪問回数の減少やコミュニケーション不足により、
企業に対する理解度が低下するという状況が起っています。
コロナ制度融資が一巡し、今後調達環境が悪化するのではと言われていますが、
企業側の業績悪化だけでなく、金融機関の状況も大きく関わっていることがわかると思います。
皆様にはこうした状況を逆にチャンスと捉えていただき、
大半の企業が金融機関対策をしていない今だからこそ、
適切な情報開示の実施により金融機関を味方につけ、
いち早く業績UPを目指していただければと思います。
支援部 田中徹志