私は、お客様と初対面で面談をする際には、
「御社で作っている資金繰り表があれば見せてもらえますか?」と必ず聞いています。
しかし、ほとんどの企業が、
「資金繰り表は作っていない」「頭の中で考えてやっている」とお答えになられます。
肌感覚としては、資金繰り表を作成している会社はかなり少ないと思います。
会社は、いかに赤字であろうが債務超過の会社であろうが、資金繰りが回っていれば倒産しません。
逆に言うと、いかに黒字であっても、資金繰りが回らなければ倒産します。
いわゆる「勘定合って銭足らず」の「黒字倒産」です。
そうした不幸を防ぐためにも、あらかじめ自社の資金繰りを管理することは重要で、
そのためのツールが「資金繰り表」です。
今回は、資金繰り表の作成方法について、簡単にお話をさせて頂きます。
まず、資金繰り表を作成するには「売上計画」と「変動費計画」を固める必要があります。
①「売上」計画
売上計画といっても、大雑把に「〇月の売上△円」ではダメです。
「売上高=客単価×客数×反復率」の要素をベースに組み立てます。
☞客単価=商品単価×買上点数
☞客数=新規顧客の獲得+既存顧客の維持
☞反復率=購入頻度サイクル
これをベースに考えれば、売上高予想が立てやすくなります。
②「変動費」計画
変動費とは、売上変動によって変わるもので、売上構造の分解が必要です。
例えば、
☞商品や材料の仕入高は、原価設定をしてから売上高に連動させる。
☞運送費・梱包費は、売上の〇%になるのかを概算値で設定する。
☞外注費は、外注が必要な売上区分に対して〇%かを設定する。
等です。
私が資金繰り表を作成する時間の大半は、①と②に費やしています。ここが決まれば、あとは楽です。
③「固定費」計画
固定費は、仮に売上がゼロであってもかかるコストです。
人件費や地代家賃、リース代、保険料などです。
こちらは、試算表などの帳簿や通帳を見れば、毎月支払っているものは大体わかります。
例えば、
☞給料は、額面ではなく実際に振り込んでいる金額
☞所得税・住民税・社会保険料などは、預かり分と会社負担分を合算した金額
☞保険料は、実際に引落とされている金額(帳簿だと半損や全損の保険もある)
このように、①→②→③の流れで作っていきます。
あまり細かいところばかりを見ていても進まないので、
まずは大きな動きを捉えることに重点を置いてください。これがポイントです。
それでは、次回は、資金繰り表の運用方法と、チェックポイントについてお話しさせていただきます。
支援部 田中 徹志