はじめまして、支援部 部長 田中徹志と申します。
このブログをご覧いただきありがとうございます。
私は、金融機関で約20年勤務した後、
インテリアメーカーの財務担当役員を経て、中山会計に入社いたしました。
これまでの経験を通して、
企業経営にとって一番大事なのは「資金繰り」であることを、身をもって感じています。
このブログでは、
「資金繰りがなぜ大事なのか?」
「そもそも資金繰りって何なのか?」
「どうやったら自社の資金繰りを管理、改善できるのか?」
について発信していきたいと思います。
さて、皆様の中には、取引金融機関のご担当者から
「資金繰表を出してください」と言われ、
お困りになられた経験のある方も多いのではないでしょうか?
普段、企業を取り巻くステークホルダーの方々(株主、社員、金融機関など)は、
自社の収益に目がいきがちなものです。
そのため、資金繰りを後回しに考えてしまう経営者の方が多いのが実態です。
ところが、本当に大事なのは資金繰りです。
例えば、「黒字倒産」「勘定合って銭足らず」という言葉があります。
これは、
決算上では黒字なのに→手元資金が無くなり→資金ショートが起き→支払いができず→倒産する
というケースです。
資金繰りとは、会社が持つ現金や預金の流れを管理し、
資金が不足しないように調整することを言います。
具体的に言えば現金や預金が増えるタイミングと減るタイミングを把握し、
適切な時期に借入などの資金調達を行ない、投資を実行できるよう管理することです。
このように聞くと、資金繰り管理は企業を経営していくうえで
当たり前のように行われているものだと感じるのではないでしょうか。
しかし、先述した通り、実際には資金繰りに失敗し、黒字倒産してしまう企業が数多く存在します。
なぜ、資金繰りを上手く行うことが出来ない企業が
後を絶たないのでしょうか?
それは、「資金」と「利益」の違いをはっきりと認識しないまま、
何となく資金繰りを行っていることが理由の一つと私は考えています。
「資金」とは、今すぐに経費の支払いに使用できるものであり、
例えば現金や普通預金などを指します。
もちろん、すぐに支払いに使用できない株式や不動産などの固定資産は含まれません。
また、「利益」に含まれますが「資金」に含まれないものとして、
売上債権(売掛金や受取手形)があります。
企業は商品やサービスを顧客に販売した際に、対価を現金で受け取るケースは多くありません。
代わりに、数ヶ月後に現金を支払ってもらう権利である売上債権を得ます。
売上債権は経理上、「利益」が計上されるのですが、
入金が数ヶ月後なら手元の「資金」は増えません。
逆に、設備を一括現金で購入したとしても、経理上は数年にわたって減価償却を行うため、
実際には「資金」は減少していないものの「利益」は減少しているという場合もあります。
このように、「資金」と「利益」は基本的に一致しませんので、
そのことを認識して経営を行う必要があります。
それでは、資金繰りを管理していくための具体策については、次回お話させていただきます。